アジア株式市場は金曜日に下落し、地政学リスクの再燃が地域全体の投資家心理を悪化させた。米国とイラン間の脆弱な停戦を巡る不透明感が再び高まり、特に戦略的要衝であるホルムズ海峡周辺で新たな軍事活動が報じられたことで、市場にはリスク回避姿勢が広がった。
主要指数は軒並み下落。Nikkei 225は約0.66%下落し、Shanghai Composite Indexは0.4%以上下落。Hang Seng Indexは約1.3%安と最も大きく下落した。市場参加者が地政学リスクへのエクスポージャーを見直したことで、全体的にリスク回避へ傾いた。
緊張は、米海軍が地域内でイラン側の攻撃を迎撃したとの報道後、報復行動が発生したことでさらに高まった。これにより、1カ月間続いていた停戦がいつ崩壊してもおかしくないとの懸念が再燃。特にホルムズ海峡は世界の原油供給において極めて重要なルートであり、混乱が発生すればエネルギー価格上昇や世界的なインフレ圧力へ直結する可能性がある。
こうした状況の中でも、Donald Trump大統領は停戦は依然維持されていると発言し、市場沈静化を試みた。しかし、「新たな攻撃は停戦終了を意味する」との警告は投資家不安を払拭するには至らなかった。外交交渉において決定的進展が見られないことも、先行き不透明感を強めている。
外交面では、イランは現在、米国が提示した14項目から成る和平枠組み文書を検討中。この提案には核開発制限の延長やホルムズ海峡即時再開放が含まれている。イラン側から正式回答が出ていないことも、市場の慎重姿勢を長引かせている。
地政学以外では、米雇用統計(Nonfarm Payrolls)にも市場の注目が集まっている。この指標は今後の金融政策見通しに大きな影響を与える可能性がある。強い雇用データとなれば金融引き締め長期化観測が強まり、米ドル高を通じてアジア株への圧力となる可能性がある。一方、弱い結果なら利下げ期待が再燃し、リスク資産を支える可能性もある。
地政学的不安定性とマクロ経済不透明感が重なることで、市場環境は極めて複雑化している。短期的には、中東情勢がさらに悪化するかどうか、そして米経済指標が金利見通しへどのような影響を与えるかが市場方向性を左右する重要要因となる。それまでは、アジア市場のボラティリティは高止まりする可能性が高い
Market Commentary 2026-05-18