FTSE MIBのように歴史的高値、あるいは数十年ぶりの高水準で推移する銘柄や指数に対するテクニカル分析は、実務的な有用性が限定されるケースが多い。このような環境では、市場が未踏領域にあることを認識し、既存のロングポジションは維持するというスタンスが基本となる。すでにポジションを保有している投資家は、過度な早期手仕舞いを避けるために余裕を持ったトレーリングストップを設定する傾向があり、一方で未参入の投資家は5日や8日といった短期移動平均をエントリーの目安とすることが多い。
足元の市場環境は、複数の主要指数が同様の局面にある点が特徴的である。4月は特に強い月となり、Euro Stoxx 600およびDAXは年内最高の月間パフォーマンスを記録した。日本や韓国の株式市場も引き続き史上最高値を更新している。米国ではS&P 500とNasdaqがともに6年ぶりの月間上昇率を記録し、2020年4月のコロナ後の急反発(+12.68%)以来の強い上昇となった(今回+10.42%)。
欧州の中でも特に注目されたのがイタリア市場であり、FTSE MIBは+8.88%上昇した。STMicroelectronicsは自動車向け半導体需要を背景に上昇し、Prysmianは通信およびエネルギーインフラ需要に支えられた。また、Brunello Cucinelliは地政学的緊張の緩和期待を背景にラグジュアリー需要が押し上げた。エネルギーセクターではENIが原油価格の回復とともに月末にかけて上昇した。
それでもFTSE MIBは依然として歴史的高値を更新していない数少ない主要指数の一つである。2000年3月、ユーロ導入直後に50,109ポイントのピークを記録しており、この水準は長期データを参照しない限り把握が難しい領域にある。
テクニカル分析
ITA40は先週木曜日(労働日前の欧州最終取引日)に21日移動平均付近で再びサポートされ、上昇トレンドを再開した。数日前には48,956の26年ぶり高値を記録しており、同時に数カ月前から意識されていた上昇チャネルの下限に接近していた。このチャネルは3月初旬に一度下抜けたが、月末には他指数と同様に回復している。

また、4月8日のギャップ上昇下限付近に位置する静的サポート46,950も機能しており、4月29日の安値47,034はこの水準付近で反発した。モメンタム指標は依然として良好であり、米国市場の週末の動きを踏まえると、再開後は4月17日の高値48,956、または終値48,782付近に接近する可能性が高い。
短期的には史上最高値の更新が自然なターゲットとなる。一方、下値では46,250、その下に45,100がサポートとして意識される。ただし現在の市場環境では、これらの下値水準はあくまで参考レベルにとどまり、明確な材料が出るまでは調整シナリオの優先度は低い。
Market Commentary 2026-05-19