S&P500ラリー:減税効果とバリュエーション
3月30日の場中安値から4月17日の高値まで、わずか13セッションで13.7%上昇した最近のS&P500ラリーには、主に一つの要因があります。それは、現在の紛争の外交的解決に向けた動きと、それに伴う2週間の停戦(今夜終了予定)です。ほかにも、主要マーケットメーカーのオプション部門によるガンマヘッジが影響し、エクスポージャー調整のために現物資産の買いを強いられた可能性が指摘されていますが、これはよりテクニカルな要因にとどまります。
ここでは、追加の要因として、4月15日に終了した米国の税シーズンと、現在進行中の決算シーズンおよびアナリスト予想に表れているバリュエーションに注目します。
4月の税期限とOBBBA
2025年夏に成立した「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」は、チップ収入、残業代、自動車ローン金利、児童税額控除の拡大、SALT控除上限の引き上げなど、新たな税控除を遡及的に導入しました。IRS(米国内国歳入庁)が2025年中に源泉徴収テーブルを調整しなかったため、納税者は年間を通じて過剰に税金を差し引かれており、現在、例年より大きな還付金を受け取っています。これは中〜高所得層に恩恵をもたらしています。今シーズンだけで2,020億ドル以上が還付され、平均還付額は3,571ドルに達しています。
これらの大きな還付金は、実質的に新たな景気刺激策として機能し、年初の消費需要を押し上げています。もし早期に消費に回れば、2026年にかけて経済成長とインフレの上振れを支える可能性があります。可処分所得の増加は、企業の利益予想を強化し、株式バリュエーションの重要な柱となります。
米国決算シーズンとファンダメンタルズ指標
初期の決算結果は好調です。現時点で決算を発表したS&P500企業のうち88%がEPS予想を上回っており、1年平均の79%、5年平均の78%、10年平均の76%を上回っています。FactSetは、2026年第1四半期のS&P500利益成長率を約12.5%と予測しており、これで6四半期連続の二桁成長となる見込みです。
S&P500の予想PER(フォワード12か月)は現在20.9倍で、5年平均の19.9倍、10年平均の18.9倍を上回っています。2026年通年では、アナリストは18%の利益成長を予測しており、四半期ごとに加速すると見込まれています(第2四半期20.1%、第3四半期22.2%、第4四半期19.9%)。これらの予測が実現すれば、利益の拡大により株価とのギャップが縮まり、フォワードPERは低下する可能性があります。これは典型的な強気シナリオです。
下図は、S&P500の価格(左軸)とフォワードPER(右軸)を組み合わせたものです。データが年次ベースのため、3月の下落は反映されておらず、4月1日の追加データポイントが含まれています。現在のフォワード成長予想を見ると、2026年1月(約6,920で取引)や2025年1月と比較して、現在の方がファンダメンタルズ的に割安に見える可能性があります。
もっとも、これらはすべて予想に基づいています。市場は、地政学リスクが抑制され、AIによる生産性向上が高い利益成長を支えるという楽観的なシナリオを織り込んでいます。今後、決算発表が進む中でガイダンスが悪化すれば、この前提は試されることになります。実際、多くの企業が不確実性を理由に明確な見通しの提示を控えており、これは前年の関税問題によるガイダンス撤回を想起させ、アナリストの強気姿勢との対比が際立っています。